災害【地震・火災・台風】に強い家に住む!地震に強い家(想定される被害と耐震・制震・免震工法)

災害に強い家に住む !

2013年6月6日 更新

安全を高める

災害別に見る安全住宅のポイントとは?「地震に強い家」

地震大国と言われる日本。いつ起こるか分からない地震に備えて、日頃から対策をしたいものです。ここでは地震によって家がどんな被害を受けるのかを考え、その対策を紹介します。

地震によって我が家はどんな被害を受ける?

  • 家の崩壊・倒壊地震の規模、家の耐震性によっては、家の崩壊・倒壊の可能性が考えられます。命にかかわる問題なので、対策が必須!
  • 家の損傷外壁や内壁の亀裂・崩落、建具や設備の破損など、損傷のレベルによっては生活が困難になるかも知れません。できるだけ損傷を少なくする工夫をしましょう。
  • 家具転落・ガラスの飛び散りなどの被害地震によるケガの原因の多数を占めるのが、家具の転落や落下。ケガで避難が遅れないよう、室内の安全対策にも気を配ります。
  • 電気・ガス・水道の断絶被害状況により、ライフラインが復旧するまで日数がかかります。避難物資や身の回りの物を活用しながら生活を送りましょう。

「工法」を選んで、地震に強い家づくり!

以前から、地震に強い住宅といえば「耐震住宅」という考え方がポピュラーでしたが、最近では、「耐震住宅」に加えて「制震住宅」「免震住宅」という考え方も普及しているのをご存じですか?

「耐震」は建物の骨組みを強固にして、地震の力に対して、文字通り「耐える」技術。建物は倒壊しにくいのですが、地震の力がダイレクトに建物に伝わるため負担が大きく、家具転倒の恐れや、余震の度に損傷が大きくなる恐れがあります。

一方、「免震」は建物と地盤の間に積層ゴムなどの装置を組み込んで免震層をつくり、地震の力を建物に直接伝えないようにする技術です。免震層の働きで揺れが低減され、建物の損傷や家具転倒が少なくなります。

「制震」は「耐震」と「免震」の中間です。建物の内部にダンパーと呼ばれる装置を取り付けることで、地震の揺れを吸収して、建物が受けるダメージを制御します。
それぞれの工法の特徴やメリット・デメリットについて、下の表を参考にしながらご自身の家にあったものを選択してください。

3つの工法の特徴とメリット・デメリット
耐震
  • 耐力壁や筋交いを設けて、地震の力に耐えられる強固な骨組みをつくる
  • 建物が倒壊にしくい
  • 建物に揺れが伝わりやすく、建物内の家具が転倒する可能性も
  • 建物の負担が大きいため、繰り返しの揺れが続くと損傷が激しくなる
メリット
従来からある工法で、工事費がリーズナブル
デメリット
地震の力がそのまま伝わるため、建物の損傷や、家具の転倒などの恐れがある
制震
  • 壁内部に、地震の力を吸収する制震装置(ダンパー)を設置する
  • 耐震より揺れは低減される
  • 揺れが低減されるため建物が損傷しにくい
  • 余震や繰り返しの揺れに強い
メリット
免震より工事費がリーズナブル
どんな地盤でもOK
デメリット
免震より地震の揺れは低減されない
免震
  • 建物と地盤の間に免震装置(積層ゴムなど)を設置する
  • 免震装置の働きで、建物の揺れは地盤の揺れと比べると低減される
  • 揺れが低減されるため建物が損傷しにくい
  • 導入にあたり、一定の地盤の強度が求められる
メリット
揺れが低減されるため、建物の損傷や、家具の転倒などが少なくなる
デメリット
工事費がかかる
地盤によっては導入できない場合も

家の形状によって替わる耐震性

シンプルな長方形から出っ張りの多い形まで、家の形状はいろいろありますが、この家の大まかな形状からも耐震性を意識してみましょう。

地震に強い家の形状とは、平面も立面も「単純な形」が理想的です。平面では、複雑な形よりも長方形や正方形などの単純な形を選びましょう。立面も、できれば上階が出っ張っているような不安定な形は避け、下の階ほど壁が多い、安定した形を選びます。もしも1階部分にガレージや大きな窓がある場合は、耐震性に問題がないか設計担当者に質問しておきましょう。

家の形状

耐震強度と快適さのバランスが大事!

壁の必要量は工法によって異なりますが、大きな窓が横に連続している、あるいは2つ以上の外壁にまたがる吹抜けがあるケースなどは、壁量や配置のバランスが悪くなるため避けた方が良いと言われています。また、壁が一方に偏って配置されていると、壁がない場所の耐震性が弱まり、倒壊の危険性が高くなります。

一般的に壁量が多いほど耐震性は高まるとされていますが、窓が少なくなって開放感に乏しくなることも事実。安全もさることながら普段の生活の快適さも大切ですから、ここは耐震性と快適さのバランスがとれた設計プランを選びたいものです。設計担当者は工法に応じた壁の必要量を熟知しているので、どこまで開放感を出せるか、耐震性を高められるかについて話し合ってみましょう。場合によっては、開放感と耐震性を両立させるために鉄骨などの強い軸組を選択することもできます。

快適

屋根材も、地震や台風を想定して選ぶ

木造住宅の場合、化粧スレートや金属などの「軽い」屋根材と、瓦などの「重い」屋根材では、後者の壁量を増やすことが建築基準法で定められています。屋根を含む建物の総重量や重心の高さは地震の揺れに影響を与えるため、重い屋根材はしっかりとした構造で支えなければならないという訳です。

では瓦などの重い屋根材は災害に不利なのかと言うと、そうでもありません。確かに、重い屋根材は地震の時には揺れや落下の危険性が指摘されやすいのですが、台風の時には屋根を飛ばされにくいというメリットもあります。ですから、お住まいの地域の特性を考えながら、地震と台風のどちらに強い屋根を選ぶか検討しましょう。重い屋根材であっても、下で支える構造がしっかりしていれば問題ありません。

屋根材

次のページでは「火災に強い家のポイントとは?」について説明します。