【専門家執筆】不動産の節税対策~不動産保有期間中~

2017年7月4日

多くの人にとって一生でもっとも高い買い物となる不動産。不動産売買は動く金額が大きいだけに、それに付随する税金の額も大きいです。
3回に渡って、購入時、保有期間中、売却時の段階ごとに不動産に関わる様々な税金について解説します。第1回では不動産を購入するときに負担する税金について確認しました。
今回の第2回では、不動産保有期間中にかかる税金とその節税方法を解説します。

不動産保有期間中にかかる税金を解説

まず、税金の負担対象について簡単に確認しておきます。税金というのはその人に帰属する所得(儲け)、所有、消費に対して課されます。この内、不動産の保有中に関わってくるのは所有に対する課税と、場合によっては所得に対するものです。

固定資産税・都市計画税:不動産を所有していることに対して課税されます。毎年1月1日時点で不動産を所有している人が負担します。不動産を手放すまでの間はずっと課税され続けることになります。税額は課税標準(市区町村側で計算したその不動産の時価)に税率を乗じることで計算されます。近年、開発が盛んな都心部においては、それに応じて課税標準が引き上げられてきていることからその負担額も増えてきていると言われています。

所得税・復興特別所得税:保有不動産を賃貸物件として他人に貸し付け、所得(儲け)が出ている場合に負担することになります。つまり賃貸をしていなければ基本的には関係がありません。給与や年金など、その他の所得と合わせて国に対して確定申告をする必要があります。負担する税額は、その人の全体的な所得(給与、年金、事業、不動産賃貸)によって大きく異なります。

住民税:上で紹介した所得税・復興特別所得税は所得に対する国税です。同じように、所得に対して都道府県・市区町村からも課税がされます。計算の仕組みは基本的には所得税・復興特別所得税と同じです。通常は国に対して確定申告をすることで、住民税の申告を兼ねることになります。

【税金の種類別】節税(優遇措置)とその方法について

税金の種類ごとに確認をしていきましょう。

固定資産税・都市計画税:住宅に関わるものは様々な軽減措置が用意されています。どちらの税金も、住宅用地に関しては住宅の規模に応じて課税標準(その土地の評価額)が圧縮されます。また固定資産税では、新築建物について新築後3年または5年にわたって固定資産税が1/2に減額されます(平成30年3月31日までに新築されたもの)。また認定長期優良住宅に該当する場合には、所定の期間内に市区町村へ一定の申告をすることで、更に長期間に渡って減額されます。

所得税・復興特別所得税・住民税:上で紹介した通り、これらの税金については不動産賃貸業だけで税額計算を行うことができません。不動産賃貸による所得が低いとしても、その他の所得が高ければ結局税額は高くなります。ですので、最近話題の改正された配偶者控除や確定拠出年金など、総合的な税金対策を講じる必要があります。不動産賃貸業に限定して言えば、損害保険料や修繕費、不動産会社に支払う仲介料などの経費について取りこぼしがないようにすることや、不動産購入時にしっかりと資産を区分しておくこと(建物本体と給排水設備や電気設備、空調機器に分類)により、減価償却費の計算についてなるべく早くに経費とできるような対策をとっておくことが考えられます。付属設備をしっかりと区分しておくと、より短い年数で経費計上ができる=一年あたりの経費計上額が大きくなります。

不動産賃貸に係る節税策は非常に複雑です。税務署や不動産業者、あるいは税務の専門家に相談をした上で策を導入することが大切です。また、上で紹介した流れとは別のものとして、俗に「住宅ローン控除」と呼ばれている制度があります。これは「住むための不動産をローンで購入した人」が対象となるもので、年末時点で有しているローン残高に応じて所得税等が減額される仕組みです。

まとめ

固定資産税・都市計画税の節税策は、購入時と同様に「決められた期間までに不動産を購入、建築したら税金が安くなる」というものばかりです。従って「いつまでに取得をすれば保有期間の税金が安くなるのか?」ということを確認しておくことが大切です。ただし、やはり近年の経済停滞を理由に軽減措置の延長が行われる可能性もあります。その辺りの動向まで含めて判断する必要があります。所得税等の節税策は、上でも紹介した通り不動産賃貸業単体で把握できるものばかりではありません。より総合的な判断が必要ですので、できれば専門家の力を上手に活用したいところです。そもそも「賃貸物件として魅力的かどうか?」という観点も非常に重要です。自分が住むための不動産の場合、住宅ローン控除については毎年のように制度が変わっています。取得年に応じて、控除の限度額が変わってきますのでその点もよく確認しておきましょう。

【著者プロフィール】

高橋 昌也様

高橋 昌也(税理士) 高橋昌也税理士・FP事務所
2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、
商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。
[保有資格]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート

 


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