【専門家執筆】個人で利用できる空き家対策制度とは

2018年6月18日

【牧野様】個人で利用できる空き家対策制度とは

近年、所有者不明の「空き家」や「土地」が増えています。2018年5月28日の日経新聞朝刊で、2040年には所有者不明の土地が全国で北海道本島に匹敵する約720万ヘクタールになると推測し、課税漏れや廃棄物の不法投棄の増加に繋がると指摘しています。一方で、「空き家」は周辺の住民に防災面や健康面でも迷惑をかける懸念があり、不要な「空き家」の対応に悩む所有者がいます。そこで、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」から個人が利用できる空き家対策制度を考えてみます。

「空き家」の現状と問題点

に国土交通省主催の「空き家対策の推進のための新規制度等に係る説明会」(平成30年6月23日開催)の資料によると、日本の空き家の総数は、これまでの20年間で1.8倍(448万戸から820万戸)に増加しています。日本は少子高齢化が進むと言われています。住む人が少なくなれば、その分戸数も減れば良いのですが、現状は家が建てられ続けて住宅総数は増えて、それに比例して「空き家」も増加している傾向です。
また、戸建ての「空き家」の7割には人は住んでいなく、築古で放置されたまたは管理が不十分な家や今後も住居にする予定のない家が多いといった問題あります。
出典:「平成28年度住宅経済関連データ <1>住宅整備の現状 3.戸建て空き家の利用状況|国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

管理が出来ない空き家が「特定空家等」になったらどうなる?

空き家の問題を是正するために「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。ここでいう「空家等」とは、「建築物またはこれに付随する工作物であって居所その他の使用されていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」と定められています。

「特定空家等」は以下の状態にある「空家等」のことをいいます。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

この「特定空家等」の所有者に対して、市町村長は除去、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるように助言、指導、勧告、命令やさまざまな手続きを経て行政代執行をすることを定めています。

また、勧告されて改善が見られない場合は、その土地の固定資産税の「住宅用地の特例」が適用除外され、多くて通常の6倍の額を納税しなければいけないこともあり得ます。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法 – 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf 

相続した「空き家」を譲渡するなら、特別控除が適応される今

居住用の不動産を売却する時の譲渡所得は次のように計算します。一般的にこの譲渡所得に所得税と住民税が所有年数により20.315%~39.63%の税率で課税されます。

譲渡所得=譲渡価格(売却価格)-取得費(購入価格、取得費が不明であれば譲渡価格×5%)-譲渡費用(建物解体など売却にかかった費用)

特別控除とは、譲渡所得からさらに3,000万円を引いた金額に課税をする制度です。
譲渡する場合、下記の3つのポイントに合致すれば、譲渡所得の3,000万円分は特別控除を受けることができます。3,000万円以下の譲渡物件であれば譲渡所得の課税はありません。

特別控除を適用できるようになる3つのポイントを見ていきます。
【ポイント1】相続発生日を起算日とした適応期間の要件(次の1と2を満たすこと)
1.相続日から起算して3年を経過する日に属する年の12月31日までに譲渡すること
2.平成28年から4月1日から平成31年12月31日までに譲渡すること
(例)
平成27年1月2日に相続が発生した場合、平成28年4月1日から平成30年12月31日までに譲渡すると、特別控除の対象になります。

【ポイント2】
相続した家屋の要件
1.相続開始の直前まで被相続人の居住用であったこと
2.相続開始の直前まで該当被相続人以外に住人がいなかったこと
3.昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
4.相続の時から譲渡の時まで、事業、貸付又は居住用に供していないこと

家を取り壊して土地を譲渡した時も、譲渡するまで家屋や土地を事業、貸付あるいは居住用として提供していないことが要件になります。

【ポイント3】
譲渡する際の要件
1.譲渡価格が1億円以下であること
2.家屋を譲渡する際(土地の譲渡を含む)は、その家が現行の耐震基準に適応すること。

更地にして土地を売却する時は問題ないですが、家屋付きで売却する時はその建物の耐震工事をしてから売却する必要があります。

特別控除は相続を受けた子どもが空き家に住んでいなくても、被相続人(親)が住んでいたなら適応されます。この控除制度は「相続税譲渡時の取得加算特例」や選択適用、他の特例処置と併用が出来る場合があります。この制度の適用を受けるためには各種書類を用意する必要がありますので、詳しくは所轄の税務署に確認してください。

「空き家」を貸し出すとき「マイホーム借り上げ制度」を考えてみる

一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借り上げ制度」を利用して賃貸する方法があります。「マイホーム借り上げ制度」とはJTIが家屋を借上げ、第三者に転貸し、転貸収入から借上げ賃料を支払う仕組みです。制度利用者(以下オーナー)とJTI、JTIと入居者との間にそれぞれ建物賃貸借契約を締結し、契約中は空き家となった場合も、オーナーにはJTIから所定の最低保証賃料が支払われます。
出典:一般社団法人移住・住みかえ支援機構
https://www.jt-i.jp/index.html

上記の制度はオーナーが所有する住宅であれば「空き家」も対象のため、「空き家」を賃貸したいのであれば制度利用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行により、今まで以上に「空き家」は放置できなくなりました。「空き家」とその土地を譲渡(売却)することは、資産を不動産から金融資産に資産換えをすることです。賃貸にすれば定期的な収入が見込めますが、特に築古の場合は住宅を維持するためのリフォーム費用もかかり、安易に収入を得るのは難しいかもしれません。「空き家」の状況にもよりますが、3,000万円の特別控除適応期間に譲渡を考えるのも「空き家」対策のひとつでしょう。

執筆者プロフィール

牧野 寿和様
牧野 寿和
牧野 寿和(ファイナンシャルプランナー)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP®認定者
FP業務に携わって15年。「人生の添乗員®」を名乗り、現在の収入と年金を含めこれから入って来る収入それに貯蓄や資産を基に、いかにしたらご自身の描いた生活ができるのか、プランニングや提案それにサポートをしている。資産の形成、住宅取得計画や相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなどに具体的な実績を築いている。
著書:「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)など

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