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2018年8月1日 更新

高齢者の事故を防ぐ

高齢者の交通事故による死者数は、ほかの年齢層と比べて非常に多くなっています。高齢者の交通事故を防ぐために、本人やその家族、ドライバーはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

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交通事故の死者数は高齢者が半数以上

交通事故による死者数は年々減少傾向にありますが、65歳以上の高齢者の死者は依然として多く、2017年の交通事故死者のうち高齢者は半数以上を占めています(※)。
※警察庁統計より

高齢者(65歳以上)死者数の推移(過去10年間)

高齢者(65歳以上)死者数の推移(過去10年間)/グラフ

2017年の交通事故による高齢者の死者数の割合

2017年の交通事故による高齢者の死者数の割合/グラフ

なぜ?高齢者の交通事故が多い理由

高齢者の交通事故が多い理由としては、高齢者の人口が増えたこともありますが、加齢による身体の変化も深くかかわっています。
年齢を重ねると注意力や判断力が低下しやすくなり、とっさの対応が難しくなります。また、身体機能が衰えることで歩行速度が遅くなったり、車のブレーキを踏む力が弱まったりして、頭ではわかっているけれど身体が思うように動かないなど、事故につながるケースが増えてしまいます。

高齢者の歩行中の事故 こんなケースに注意!

高齢者の歩行中の事故は、以下のような原因で起こりやすいとされています。「最近、散歩や外出中にヒヤッとする場面が増えたな…」という方は要注意です。

ケース1「慣れた道で、つい信号無視をしてしまう」

高齢者の歩行中の交通事故で、最も多い原因が信号無視です。これまでも事故に遭わなかった交差点だからといって、信号無視をするのは危険です。急がず青信号になるまで待ちましょう。

ケース2「横断歩道を渡り切れず…」

若い時にはサッと渡りきれた横断歩道も、加齢とともに歩行速度が遅くなり、横断に時間がかかるようになります。無理に渡ろうとすると、横断中に信号が赤に変わって横断歩道に取り残されてしまうかも知れません。

ケース3「横断歩道以外の場所を横断する」

横断歩道や歩道橋が遠いからといって、横断歩道以外の場所を無理に横断するケースもみられます。横断歩道以外の場所では、走行中の車が歩行者に気付きにくく、事故につながる危険があります。

ケース4「暗い道で車に気付かなくて…」

早朝や夕方、夜間などは視界が暗いため、歩行者は周囲の車などに気付きにくいものです。一方ドライバー側も、歩行者の発見が遅れがちになるので事故につながりやすくなります。

高齢者の歩行中の事故を防ぐには…

高齢者の方へ

  • 「自分だけは大丈夫」と慢心しない

どんなに元気な方であっても、加齢による体力や判断力の低下は避けられません。これまでに交通事故と無縁であっても「自分だけは大丈夫」と慢心せず、基本の交通ルールを守っていきましょう。

  • 歩行中の基本の交通ルール
  • 1)歩道があるところでは、必ず歩道を歩く
  • 2)歩道がないところでは、道路の右側を通る
  • 3)道路を横断する時は、左右を確認して安全を確かめてから渡る
  • 4)信号(歩行者用信号)がある場合は、信号の指示を守る
  • 時間に余裕を持って出かける

時間がなくて焦っている時ほど、つい危険な行動に走ってしまうことがあります。出かける時は時間に余裕を持つようにしましょう。

  • 外出時は明るい色の服装で

黒やグレーなど暗い色の服装は、走行中のドライバー側から見えにくいため危険です。特に早朝、夕方、夜間などの外出は明るい色(白や黄色など)の服装を心がけ、できれば反射材も身につけましょう。

ドライバーの方へ

高齢者は、加齢とともに体力や判断力が低下しているために「十分に渡りきれるだろう」と思って無理な横断をすることがあります。そのため、歩行中の高齢者を見かけたら減速や一時停止をするなどして、高齢者に配慮した思いやりのある運転を心がけましょう。
また、早朝、夕方、夜間の時間帯は、視界が暗くて歩行者の存在に気付きにくい上、歩行者側も車が近づいているのに気付かず、事故につながるケースが多くなっています。夕方になったら早めにライトを点灯し、無理のないスピードで走行しましょう。

高齢者の運転中の事故 こんなケースに注意!

高齢ドライバーによる事故は主に以下のような原因で起こりやすいため、注意が必要です。

ケース1「止まろうと思ったのに!?」

一時停止線の前などで停止しようと思ったのに、筋力の低下によりブレーキを踏む力が足りなかったり、身体が思うように動かずブレーキとアクセルを踏み間違えたりして、止まりたい場所に止まれないことがあります。

ケース2「ついつい考え事をしていて…」

加齢とともに注意力や集中力も低下するため、運転中についつい別のことを考えてしまう、わき見運転をするなどして、周囲の歩行者や自転車に気付かず、発見が遅れてしまうこともあります。

ケース3「いつも人通りが少ないから大丈夫だろう」

いつも人通りが少ない道路だから…と一時停止の標識を無視して、飛び出した歩行者や自転車と衝突するケースもあります。長年の運転経験があるドライバーほど過去の経験にとらわれやすいので注意しましょう。

ケース4「右折信号は見ていたけれど、歩行者に気付かなかった」

右折時に右折信号を気にするあまり、向こうから直進してくる車や横断中の歩行者に気付かない場合も。自分ではきちんと注意しているつもりでも、視力や視野の衰えにより、どうしても危険を見落としやすくなります。

高齢ドライバーの事故を防ぐには…

高齢ドライバーの方へ

  • 決して無理しない、焦らない

加齢により体力や判断力が低下している状況を把握して、無理な運転は控えるようにしましょう。体調面の不安や焦りがあると、気持ちに余裕がなくなり、とっさの反応に遅れが生じることもあります。一時停止の標識のある交差点や見通しの悪い場所では、必ず止まって安全確認を行ってください。

  • 「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」を表示する

70歳以上のドライバーは、車に「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」を表示することもできます。
この高齢運転者標識(高齢運転者マーク)を表示する車に対して、他の運転者は危険な幅寄せや割り込みの禁止などが義務づけられています。

  • 運転に不安を感じたら免許の返納も検討

運転することに不安を感じたり、家族から運転中の危険を指摘されたりしたら、運転免許証の返納も検討してみましょう。
車の運転が生きがいという方、あるいは車がないと生活が不便な地域にお住まいの方もいるため返納のタイミングは人それぞれですが、車を手ばなすことで高額な維持費がかからなくなり、その分のお金を趣味に回すなど、新たな楽しみを見つけているケースも少なくありません。自治体によっては、免許返納者に対して地域のバスやタクシーの回数券などの支援を行っているところもあります。

一般ドライバーの方へ

  • 思いやりのある運転を忘れずに

「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」をつけた車に対する危険な幅寄せや割り込みなどの行為は法律で禁じられています。
例えマークをつけていない場合であっても、他のドライバーに対するおもいやりの心を持ち、ゆとりを持って運転しましょう。

交通ルールを守って安全に

多くの人が行きかう道路では、ちょっとしたルール違反が大きな事故につながる場合もあります。
交通ルールは、自分や周囲の人たちの命と安全を守るために大切なもの。日頃から交通ルールやマナーを意識することが、交通事故を防ぐ一歩になります。
ぜひあなたも、この機会に交通ルールを見直して身の回りの安全を心がけましょう。