親世帯と子世帯が寄り添って暮らす2世帯住宅は、安心感が得られる一方で、ささいなことからお互いにストレスを溜めてしまうこともあります。ストレスを最小限に抑えて、心地よく生活するためにはどうすれば良いのでしょうか。
2013年5月9日 更新
まずは2世帯住宅における精神的なメリット・デメリットを参照してください。
- 老後や災害時の安心感
- 家事、育児の助け合い
- 世代間のコミュニケーション
- 伝統文化の継承
- プライバシーの問題
- 環境、習慣の違い
- 世代間の意識の違い
2世帯住宅では、核家族住宅よりも幅広い年代の家族と生活を共にします。これは老後や災害時はもちろん、普段の育児、家事にいたるまで、親世代の経験と子世帯の体力などをお互いに補うことで家庭内のサポート体制が充実し、大きな安心につながります。
おじいちゃん、おばあちゃんと孫の結びつきなど、世代間のコミュニケーションが得られるのも魅力的です。孫たちはおじいちゃん、おばあちゃんと日常を過ごしながら、優しさやいたわりの心について学ぶことでしょう。おじいちゃん、おばあちゃんにとっても、かわいい孫の成長を間近で見ることで若々しさや元気を実感できるはずです。
このように2世帯住宅には素晴らしいメリットがありますが、見方を変えればプライバシーが守られにくく、2世代の習慣や考え方の違いが浮き彫りになりやすいというデメリットにもなります。
例えば、「共働きで忙しい子世帯のために、親世帯が良かれと思って室内を掃除したらトラブルに発展した」「子育ての方針をめぐって、おばあちゃんと母親が対立した」……そんないさかいが起こりうるのも、2世帯住宅の特徴です。
親世帯も子世帯も、今まで培ってきた習慣や考え方を改めるのは難しいものです。しかしながら、お互いの習慣や考え方の違いが積もり積もれば、ストレスを感じやすいのも事実です。これらの精神的な問題は、ひとえに「距離感が近い」ために生じます。同じ屋根の下で暮らさない限りは、ほとんど気付かないような問題も少なくありません。ですから、2世帯住宅で心に負担をかけないためには、この距離感をうまくとることが大切なのです。
前述のように、2世帯間の環境、習慣、考え方の違いを改めるのは簡単なことではありません。 相手に改善を求めるのが無理なのですから、初めからお互いに「ギャップはあって当然」と考えた方が、お付き合いはスムーズになります。
家事の仕方や子育て方針、料理の味付けなど、相手に対して「?」と思うことはあっても、意識の中心に「違っていて当たり前」という考えがあれば、フッと気持ちが楽になりませんか? そこで間違っても、相手も自分と同じようにするべきなどと考えてはいけません。
家族であれば、少しくらいの衝突は日常茶飯事です。けれども2世帯住宅の場合、同じ家で暮らす家族と言っても世帯は別々ですから、いざこざが起きてもすぐに関係を修復できるような環境づくりを整えておきたいものです。
「ダイニングキッチンは別々でも、週に1度は一緒に食事をとる」「共有の庭は2世帯揃って掃除する」……など、2世帯間のコミュニケーションを円滑にする生活ルールを最初に決めておくと良いでしょう。
間取りに工夫をして、住まいの中に物理的な距離をつくって衝突を避けるパターンです。具体的には玄関からリビング、ダイニング、キッチンなどをすべて分離する「独立タイプ」や、独立したスペースが多い「部分共有タイプ」を選び、距離のバランスをはかると良いでしょう。また「共有タイプ」であっても、1人でくつろげるスペースなどがあればストレス解消に役立ちます。
これらの対策は住まいの専門家に相談して、それぞれの家族の事情に合った間取りやプランを提案してもらいましょう。専門家はさまざまな2世帯住宅事情に精通していますから、きっと的確な提案やアドバイスが得られるはずです。
2世帯住宅の「距離感の近さ」ゆえに起こるトラブルとその対策を紹介しましたが、親世帯と子世帯の距離のバランスを保つポイントとは、要するに「親しき仲にも礼儀あり」の心です。どうしても身内の問題は感情的になりがちですが、それは2世帯住宅でも核家族住宅でも同じこと。ささいな問題は水に流して2世帯住宅のメリットに目を向けましょう。
家族や地域のコミュニティの意識が薄れつつある昨今、2世帯で協力し合って生活することは、温かな「絆」や、視野の広がりを提供してくれます。2世帯住宅で、親世帯と子世帯の幸せな新生活をスタートさせてください!
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