不動産売却の流れ(条件の整理・査定・媒介契約・引き渡し)を知る

不動産売却の流れを知る

不動産を売却するには、まず何から始めたら良いのでしょうか。ここでは、条件の整理から査定、契約、引き渡しまでの流れを6つのステップに分けて紹介します。

  • 1.売却の動機や条件を整理する
  • 2.物件を査定する
  • 3.媒介契約を結ぶ
  • 4.物件を売り出す
  • 5.不動産売買契約を結ぶ
  • 6.物件を引き渡す

1.売却の動機や条件を整理する

不動産の売却を検討中のあなたは、「なぜ売りたいのか」という動機がハッキリしていますか?
何を当たり前のことを・・・・・・と思われるかもしれませんが、ここでもう一度、売却の動機を整理してみましょう。
子どもの新入学や転勤による買い替えのために不動産売却を検討しているなら、新年度や異動に合わせて、比較的短期間で不動産を売却する必要が生じます。一方、相続した不動産であれば、事前に相続人全員の意思確認などの手続きが必要になります。
つまり、動機次第で不動産売却の方法やスケジュールは大きく異なるという訳です。これからスムーズに不動産売却を進めるためにも、少なくとも「売却の動機」と「期限」の2点はクリアにしておきましょう。

整理しておきたいこと
売却の動機
期限(いつまでに売却したいか)
住宅ローンの残債
買い替え用の資金の有無
売却希望価格

2.物件を査定する

では、今ある不動産は一体、いくらで売れるのでしょうか?
売主にとって最も気になる価格の疑問に答えてくれるのが「査定」です。ほとんどの不動産会社は、この査定を無料で行っています。
査定を依頼したからといって、必ずその会社と契約をしなければならない訳ではありません。むしろ複数の会社に査定を依頼して、売却価格や売却プランのアドバイスを含めてフィーリングの合う担当者をチェックすると良いでしょう。
物件の査定は、担当者を見極めるチャンスでもあるのです。

査定のタイプは2種類

●簡易査定
直接現地を訪問せずに、周辺の売り出し事例や成約事例、公示地価などデータを参考に価格査定を行う方法で「机上査定」とも呼ばれています。現地訪問がないためスピーディに査定結果が分かりますが、反面、建物の内外装や陽当たり、眺望などが反映されていない「大まかな価格」であることも事実。実際に売却する際は、より正確な査定結果が分かる訪問査定を受ける必要があります。
こんな方にオススメです!
売却を検討し始めたばかりで、ひとまず価格の目安が知りたい方
すぐに売却する予定はないけれど、参考程度に不動産の価格が知りたい方
●訪問査定
簡易査定の結果に加え、担当者が現地を訪問して建物や敷地の状態、周辺環境などまで考慮して査定を行います。査定項目が多岐にわたるため、結果が出るまで1週間~10日間ほどかかる場合がほとんどですが、簡易査定より正確な価格が分かる上、直接現地で担当者と相談できるのは大きなメリットといえるでしょう。
こんな方にオススメです!
より正確な売却価格を知りたい方
具体的な売却プランの提案やアドバイスを受けたい方

COLUMN

会社によって査定価格に差が出たら・・・・・・?

複数の不動産会社に査定を依頼した場合、会社によって査定価格に差が出ることがあります。 これは、会社の過去の販売データなどが査定結果に反映されているためですが、単純に「査定価格が高い」=「高く売れる」と考えるのはNGです。査定価格はあくまで予想に過ぎず、実際の売却価格は、査定価格を参考にして売主と会社が相談して決めるもの。その売却価格も、買い手が現れなければ値下げを行う可能性だってあるのです。
ですから、査定結果の金額に一喜一憂するよりも、「担当者が自分に合う売却プランを提案してくれるか」「相談しやすいか」といった点に注目すると良いでしょう。

3.媒介契約を結ぶ

不動産の売却を正式に決意したら、不動産会社との媒介契約へ進みます。「媒介」とは両方の間に立って仲を取り持つこと。つまり依頼者であるあなたが、買い手との間を取り持ってもらうよう不動産会社と契約を交わす訳ですね。
媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、それぞれ次のような特徴があります。

一つの会社に絞って不動産売買の媒介を依頼する契約です。
依頼者(あなたのことです)がAという会社と「専属専任媒介契約」を結んだ場合、A以外の会社に重ねて不動産売買の媒介を依頼することができません。また、Aが見つけた相手以外の方と売買の契約を締結することもできません。
「専属専任媒介契約」を結んだAは、契約後5日以内に指定流通機構(レインズ)に売物件情報を登録し、1週間に1度以上、販売状況を売主に報告します。
上の「専属専任媒介契約」と同様、不動産売買の媒介を依頼できるのは一社のみ。依頼者(あなたのことです)がAという会社と「専任媒介契約」を結んだ場合、A以外の会社に重ねて不動産売買の媒介を依頼することができません。ただし依頼者自身が買い手を見つけた場合は、直接契約を締結することが可能です。
「専属専任媒介契約」を結んだAは、契約後7日以内に指定流通機構(レインズ)に売物件情報を登録し、2週間に1度以上、販売状況を売主に報告します。
依頼者(あなたのことです)は、複数の会社に重ねて不動産売買の媒介をお願いできます。依頼した会社に対し、他に依頼した会社の名称と所在地を通知する「明示型」と通知しない「非明示型」の2つのタイプがあります。また、依頼者自身が買い手を見つけた場合は、直接契約を締結することも可能です。
「一般媒介契約」を結んだ会社には、売物件情報の指定流通機構(レインズ)への登録や活動報告の義務はありません。

【3種類の媒介制度】

契約の種類 専属専任媒介 専任媒介 一般媒介
複数の会社との契約 × ×
依頼者が見つけた相手との取引 ×
指定流通機構(レインズ)への登録義務 契約後5日以内 契約後7日以内 なし
活動状況などの報告義務 1週間に1度以上 2週間に1度以上 なし

COLUMN

指定流通機構(レインズ)とは?

全国の不動産会社が加入している不動産情報交換のためのコンピュータ・ネットワークシステムを指定流通機構(レインズ)と言います。
最新の物件情報や取引事例などをオンラインで素早く検索できるため、全国の買い手に向けて不動産をアピールすることができます。

どの契約タイプを選べば良いの

「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」はそれぞれ特徴があり、どれを選ぶかは売主であるあなた次第。例えば不動産の売買を一社におまかせする「専属専任媒介」「専任媒介」なら、会社は自社だけの物件ということで、広告などで積極的にアピールする可能性が高まります。一方で、複数の会社におまかせする「一般媒介」は、窓口が広く、大勢の買主にアピールできるのが強み。最終的には市場の傾向や売り出し時期など総合的に判断する必要がありますが、「この担当者にお願いしたい!」という会社に出会えたら「専属専任媒介」「専任媒介」を選び、「いろんな担当者の目線で買い手を見つけてもらいたい」と思ったら「一般」を選ぶという手もあります。

4.物件を売り出す

不動産会社と媒介契約を締結すると、物件の売り出しが始まります。
不動産会社は、指定流通機構(レインズ)の登録をはじめ、店舗での案内、ホームページ、新聞折り込みチラシ、住宅情報誌などで、物件を探し中の方にあなたの不動産をアピールします。
あなたの不動産に興味を持った方に対して、特定の案内日に住まいを公開する「オープンハウス(オープンルーム)」といった販売方法もあります。来場者にとっては実際の住まいを見学できるのですから、購入を検討してもらう絶好の機会になります。売りたい物件が空き家や空き室の場合は問題ないのですが、住みながら売却を進めている場合は、事前にキレイに片付けるなどして心地よく来場者をお迎えし、住まいの好感度をアップさせましょう。

5.不動産売買契約を結ぶ

不動産の購入希望者が見つかったら、具体的な価格や条件の交渉に入ります。その後、不動産会社の宅地建物取引主任者が重要事項説明を行い、あなた(売主)と購入希望者(買主)がそれぞれ納得すれば正式に売買契約を交わします。
売買契約が成立すると、売主には所有権の移転、引き渡しの義務が生じ、買主には売買代金の支払いの義務が生じます。

COLUMN

契約時に必要なものは?
  • 登記済証または登記識別情報通知書
  • 実印
  • 印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内のもの)
  • 固定資産税等納税通知書
  • 建築確認通知書・検査済証
  • 仲介手数料の半金
  • 収入印紙代
  • ※場合によっては、このほかに必要なものが生じることもあります。詳細は担当者に問い合わせてください。

6.物件を引き渡す

不動産売買契約を契約すれば、いよいよ引き渡しです。
引き渡しは空き家・空き室の状態で行われるため、家具などが残っている場合は引き渡し期日までに処分しましょう。リフォームやハウスクリーニングも、このタイミングで行います。
売却物件に住んでいる場合は引っ越しの準備を進める必要があります。水道、ガス、電気会社への転居連絡や料金の精算も忘れずに済ませましょう。
引き渡し当日、売主と買主は登記申請に必要な書類を司法書士に渡します。売主から残代金を受け取ったら、住まいの鍵と関係書類などを渡しましょう。以上で不動産取引は完了です。お疲れさまでした!

COLUMN

不動産を売却したら確定申告を!

不動産を売却して得たお金は「譲渡所得」に分類され、所得税の対象となります。
そのため売却した翌年の2月16日から3月15日の間に、税務署で確定申告を行わなければなりません。
国税庁のホームページには、申告の詳しい手引きや申告書の作成コーナーが用意されているので、「申告の方法が分からない」「税務署に行くのが面倒」という人は利用してみてはいかがでしょうか。

国税庁ホームページ「確定申告特集」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/

次のページでは「不動産売却で失敗しないコツ」についてご紹介します。>>