訪日外国人の旅行スタイル&コミュニケーション

“ジェスチャー”身振り手振りで会話ができる?

2018年10月3日 更新
“ジェスチャー”身振り手振りで会話ができる?

身振り手振りのジェスチャーはコミュニケーションに役立ちますが、国や地域による違いが大きく、何気ないジェスチャーが相手の戸惑いや誤解を招くこともあります。日本人と外国人のコミュニケーションで戸惑いやすい代表的なジェスチャーを見ていきましょう。

1)外国人が戸惑いやすい日本人のジェスチャー

お辞儀をする

お辞儀をする

身体を前方にかがめ、頭を下げるお辞儀は、出会いや別れの挨拶、相手への敬意、感謝の気持ちなどを示す仕草です。
日本をはじめアジア各国では日常的にみられる仕草ですが、アジア以外の国や地域ではあまり一般的ではなく、ヨーロッパではごく一部の公式な場面でしかお辞儀は行われません。
親しい人と挨拶をするジェスチャーとしては、手を上げて手のひらを相手に向けて左右に振る(世界各地)、軽く抱き合う(ヨーロッパ、イスラム諸国ほか)などがあります。

うなずく

うなずく

首を縦に振ってうなずく仕草は「相手の意見に肯定・同意・承諾などの気持ちをあらわす」「軽い挨拶をする」といった意味があり、世界各地でみられるものです。
加えて、日本人は会話中の相手に対して「あなたの話を聞いていますよ」という相槌として何度もうなずくことがありますが、日本以外の国や地域では「相槌としてのうなずき」はそれほど一般的ではないため、回数や動作がオーバーに感じられたり、場合によっては相手が「(お願い事などを)引き受けてくれた」「(道順などが)正しい」と誤解したりするおそれもあります。

手招きをする

手招きをする

「こっちにおいで!」と、顔の前や頭の上で手のひらを下向きにして指を上下に動かす手招きの動作。
日本では「招き猫」でもおなじみのジェスチャーですが、欧米人(特に英国、フランス、ベルギーなどの北ヨーロッパ人やアメリカ人)には邪魔者を追い払う「あっちへ行け!」という仕草や、「バイバイ」という別れの仕草と見分けがつきにくい場合もあります。
なお、北ヨーロッパやアメリカの手招きは、手のひらを上にして指を上に動かす動作が一般的です。

両手でバツをつくる、片手を縦にして左右に振る

両手でバツをつくる、片手を縦にして左右に振る

日本では、両手を交差して「×」にする、または片手を縦にして、うちわをあおぐように左右に振る仕草などは「いいえ」「ダメ!」といった否定の意味をあらわします。
ところがこの仕草は日本以外の国や地域では理解されにくく、特に片手を縦にして左右に振る仕草は「あっちへ行け」という仕草にみられるなど、誤解を受けやすいので注意が必要です。
否定をあらわすジェスチャーで比較的通じやすいものは、頭を左右に振る(世界各地)、手のひらを相手に向けて押すような動作をする(アメリカほか)などがあります。

子どもの頭をなでる

子どもの頭をなでる

日本ではよく、大人が子どもの頭をなでて誉めたり、愛情を示したりしますが、世界には子どもの頭に触れてはならないとする国や地域があります。
例えば、日本以外のアジアの国(特にタイやネパールなどの敬虔な仏教国)では子どもの頭は神聖な部分とされているため、頭に触れるのはタブーとされています。
また、イスラム諸国でも頭に神が宿るといわれており、子どもはもちろん、大人の頭にも触れてはならないとされています。

2)日本人が戸惑いやすい外国人のジェスチャー

会話中の視線

会話中の視線

外国人と会話をしていて、あまりにも相手にじっと見つめられて気恥ずかしいし、こちらから視線を外しにくかった…そんな経験がある人もいるのでは?
日本や韓国では、会話中に相手を見つめ続けるのは失礼とされていて、それとなく視線を外したりすることがありますが、それ以外の国や地域では一般的に相手の目を見て話すのがマナー。会話中に視線を外すと、不誠実と思われたり、「後ろめたいことがあるのでは?」と誤解を生じたりすることもあるようです。

顎をぐっと上げる

顎をぐっと上げて頭をそらすような動作は、日本では方向を指す時などに使われますが、どちらかといえば怒っている時や、相手を見下すなど乱暴な仕草と思われがちです。
けれどもアメリカでは、友人に出会った時の挨拶や、「あなたは?」と相手の意見を聞く時などに使われる日常的なジェスチャーで、特に親しい間柄でよくみられるものです。

個室トイレのドアをノックせずにノブをひねる

日本では、個室トイレに人が入っているかどうかを確認するためにドアをコンコンとノックしますが、ヨーロッパや北米においてトイレノックは緊急時のみで、普段はドアノブをひねって確認する人が多いようです。
個室トイレを使用している時に、いきなりドアノブがカチャッと動いたらビックリするかも知れませんが、このようなケースもあるので落ち着いて対処しましょう。ちなみに「ちょっと待ってください」を英語で言うと「Just a minute」や「One moment」となります。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

ジェスチャーの違いがお互いの文化を知るキッカケに?

目に見えるジェスチャーは、文化の違いを知る上で分かりやすい手がかりの一つです。訪日外国人は日本文化に興味を持っている人も多いので、「そのジェスチャーは何?」と尋ねられたら、お互いのジェスチャーを比較してみるのも楽しいですね。

こんなフレーズが使えます!

  • お辞儀は日本人にとって自然なジェスチャーです。
  • OJIGI is a natural form of body language for Japanese.
  • そのジェスチャーはどういう意味ですか?
  • What do you mean by that(gesture)?
  • あなたの国ではどうするの?
  • How do you do in your country?