中古住宅の住宅診断(ホームインスペクション)とは?|住まいの情報ナビ|E-LIFE不動産情報

「あと何年くらい住めるの?」「買ったあと“いつ頃” “どこに” “いくらくらいのお金がかかるのか”を知りたい」。
中古住宅を購入する際、誰もが気にすることではないでしょうか?そこで最近注目されているのがホームインスペクション(住宅診断)です。ホームインスペクションとは、住宅の専門家(ホームインスペクター)が第三者的な立場から住宅の診断を有料で行うもの。
米国では州によって異なりますが、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われ、すでに常識となっています。では、私たち素人が見る目と専門家の目ではどのような違いがあるのでしょうか? 
また劣化や欠陥が見つかった場合の修繕と診断費用の目安もご紹介しましょう。

素人では分かりにくい中古住宅の劣化部位例

建物の傾斜

家の傾斜は素人でも感覚で把握できますが、その程度を正確に確認するためには専用の機材が必要です。また建物の構造が理解できていないと、確認された部位がどういう状態かという判断が出来ません。
たとえば木造住宅の場合「廊下だけ傾いている」など1階床の一部傾斜であれば、比較的簡単に修繕でき、その後も問題ないことがめずらしくありません。しかし全体の床が傾いており、家そのものが傾斜している場合は、建物を持ち上げるなど大規模な修繕が必要になります。

床の傾斜の修繕方法と費用の目安
1階床の一部傾斜
修繕方法 床下補強などの修繕 費用 軽微なもので10万円くらい
放置した場合 特に問題なし
建物の傾き
修繕方法 ジャッキアップして杭を入れるなど 費用 一件400万円~
放置した場合 家が傾斜したままとなり、雨漏りにつながる可能性がある。構造部材に必要以上の力がかかる箇所が出てくるなど耐久性にも影響する。

【不同沈下による基礎の亀裂】画像左側が下がり、右側が上がっていることで不同沈下が原因の亀裂と判断できる。通常0.5mm以上の基礎の亀裂は要注意とされているが、この例は5mm以上。大変危険な状態。

【不同沈下による基礎の亀裂】
画像左側が下がり、右側が上がっていることで不同沈下が原因の亀裂と判断できる。通常0.5mm以上の基礎の亀裂は要注意とされているが、この例は5mm以上。大変危険な状態。

壁や床などの染み

染みの原因は「雨漏り」「結露」「設備の水漏れ」のいずれかにほとんど当てはまります。しかしそのどれかの判定は大変難しく、また重要になります。
たとえば窓まわりが濡れている場合、すぐに原因を判断できません。その状態や建物の仕様、生活状況を念入りに確認して、総合的に判断することになります。

対処方法もそれぞれの原因によって異なります。雨漏りの場合は、室内で被害にあった箇所の修繕と雨水の浸入ルートを確認して元を断たなければなりません。結露の場合は、結露が起きるプロセスを判断しなければなりません。建物の仕様によるものか、生活の仕方によるものか、施工不良によるものかなどです。
これらが明確になってから対処を選択することになります。

染みの修繕方法と費用の目安
雨漏り
修繕方法 原因箇所の修繕と室内の修繕 費用 10万円~※被害の範囲にもよるが100万円以下で直るケースが多い
【雨漏りによる染み】この家は1階より2階が小さい形状。そのため1階屋根と2階外壁の境目部分が劣化し雨漏りが生じた。画像の上がその部位。

【雨漏りによる染み】
この家は1階より2階が小さい形状。そのため1階屋根と2階外壁の境目部分が劣化し雨漏りが生じた。画像の上がその部位。


結露
修繕方法 結露による染みのケースは原因が多岐に渡るため、修繕方法も多種多様 費用 一般的な例がなく目安を紹介することは不可能。原因によっては暖房器具など生活方法を変えるだけで解決できるため費用がかからないケースもある。
設備漏水
修繕方法 配管の交換と室内の修繕 費用 10万円~

それぞれを放置した場合:雨漏りなど水漏れ関係を放置することは家にとって致命的なダメージを受ける場合もある。

雨漏りからシロアリ被害など連鎖的な出来事

画像の例は単なる経年劣化によるバルコニー裏の亀裂に見えます。しかしホームインスペクターは亀裂から木材の腐食の証拠となる変色を発見。その変色がシロアリの食害にあった木材に近い色であることに気づきました。

【バルコニー裏の亀裂】一見、単なる亀裂による雨漏りだが、実はシロアリ発生の原因になっていた。

【バルコニー裏の亀裂】
一見、単なる亀裂による雨漏りだが、実はシロアリ発生の原因になっていた

そこで床下を確認したところ、シロアリの通り道(蟻道)が何本も確認されました。気をつけたいのは、シロアリはヒノキやヒバなど嫌いな樹種を土台に使用していても、その先の湿気を求め、他の部分を食べながら床下から2階バルコニーまで上がって来るということです。
連鎖的にシロアリの被害にあうことは、上記の防水劣化が原因の雨漏りだけでなく、建物の傾斜⇒雨漏りという順番でも起きます。

【蟻道】嫌いな樹種の土台(基礎に接した木材)を食べずに通り過ぎ、その上の木材を食べながら2階の湿気へ向かっていた。

【蟻道】
嫌いな樹種の土台(基礎に接した木材)を食べずに通り過ぎ、その上の木材を食べながら2階の湿気へ向かっていた

連鎖的な出来事の修繕方法と費用の目安(上記例の場合)
修繕方法 雨漏りとシロアリ被害による柱や梁など腐食部位の修繕と防蟻処理 費用 上記二つの修繕費用を合わせて最低でも50万円くらい
放置した場合 放置すると致命的な事態になる可能性が高い。シロアリの被害にあった状態では耐震性が極度に落ちる場合もある

住宅診断によって分かること

診断のチェック項目は、建物の仕様にもよりますが数百程度になります。ホームインスペクターがそれらの結果を総合的に判断することで以下の事象が分かります。

  • 著しい建物の傾き
  • 建物が不同沈下している可能性
  • 継続していると思われる雨漏りの形跡(微細な形跡は除きます)
  • 著しい施工不良と思われる箇所の有無
  • 構造耐力上主要な部分の著しい損傷・腐食・変形の有無
  • 屋内給排水管の著しい劣化、漏水やその形跡
  • 詳細な調査を行うことが望ましいと判断できる箇所
  • 早期に補修が必要な箇所

一般的に診断後は結果報告書が提出されます。報告書は検査の項目と調査状況や劣化箇所の写真が添付されます。そのボリュームは物件の状態にもよりますがA4で30~40ページ程度になります。

ホームインスペクション費用の目安(例:さくら事務所)

中古住宅のホームインスペクションは、売主がまだ住んでいる場合も考慮して、複数の調査内容が設定されているのが一般的です。

目視コース5.5(5.5万円+税)

基本は目視だが水平や垂直を計るレーザーなどの機材は使用。1名で床下と小屋裏は点検口などからみえる範囲を確認。

【床下診断の様子】
汚れてもOKな服装に着替え、専用の道具を利用して床下の診断を行う

目視コース12(12万円+税)

基本は目視だが水平や垂直を計るレーザーなどの機材は使用。基本2名で床下と小屋裏は浸入できるところまで入って確認。

目視コース12+機材コース(20万円+税)

目視コース12に加え、サーモグラフィカメラなど建物を傷つけることなく検査できる機器を使用して確認。

【サーモグラフィカメラ】
温度の分布が分かるサーモグラフィカメラを使うことで、「雨漏りの可能性」「タイルなど外壁材の浮き」「断熱材の有無」「筋かいの有無」などが分かる

ホームインスペクションはリフォームにも有効

中古住宅を購入する人の多くは、購入と同時にリフォームも行っています。ホームインスペクションを利用すれば、「どの部分にどのようなリフォームを施せばより長く住めるか」のアドバイスも受けることもできます。診断依頼先の情報など詳しい内容はNPO法人日本ホームインスペクターズ協会で確認しましょう。
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会

取材・文/椎名前太
取材協力/NPO法人日本ホームインスペクターズ協会・さくら事務所

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