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シニアライフをナビゲートする「将来設計」を立てる(2)ライフイベントと費用について

2014年5月23日 更新

シニアライフは「何をする?」「どこに住む?」

 前ページでは老後に毎月かかる生活費についてお伝えしましたが、充実したシニアライフを過ごすためには、最低限の生活費さえ用意しておけば大丈夫という訳ではありません。
 趣味や生きがいのために行う活動や、「終の棲家」への住み替え、旅行といったライフイベントにも別途費用がかかります。
 ここでは、あなたが老後に「したいこと」や「住みたい場所」にかかる費用を紹介します。

シニアライフは「何をする?」

仕事 収入の目安:時給700円~(シルバー人材センター利用の場合)

 定年を迎えても、60歳台~70歳台前半は体力も気力も充実しており、現役時代の仕事の勘も十分に備わっているため、仕事を続ける人は少なくありません。
 加えて、60歳から年金を受給できる65歳までの5年間は収入が途絶えてしまう「空白期間」。仕事でさまざまな出会いや刺激を得ながら、老後の資金も増えるので一石二鳥と言えるでしょう。
 「高齢者雇用安定法」によって、2013年4月から定年後も希望すれば原則として現役時代と同じ職場で引き続き働くことができるようになりました。雇用形態や給与は企業によって異なりますが、愛着のある職場で継続して働きたい人におすすめです。また、新しいことにチャレンジしたい人は、お住いの市町村にあるシルバー人材センターに問い合わせてみましょう。シルバー人材センターで斡旋される仕事は事務、駐車場・駐輪場の管理、清掃、家事援助、自動車運転など多岐にわたり、時給は700~1000円ほどです。

ボランティア 収入の目安:一部有償の場合もあり

 シニア世代ならではの経験力を生かして、社会に貢献できるのがボランティア活動です。お住まいの市町村のシニアボランティアセンターを通じて、やりたいことを見つけましょう。現役時代に培った専門知識や技術をはじめ、子育ての見守りや清掃などで地域の活性化に役立つさまざまなボランティア活動が用意されています。
 基本的には無償になりますが、中には有償のボランティアもあります。

旅行 支出の目安:5,000円~(日帰りバスツアーの場合)

 シニアライフの楽しみとして、旅行を挙げる人は多いものです。特に体力のある60歳台~70歳台前半は、国内外を含むさまざまな地域に足を運ぶチャンス。憧れの場所や思い出の場所があれば、積極的に出かけましょう。時間に余裕があるシニア世代の特権で、船旅や青春18切符を使った列車旅などを選択するのも良いかも知れません。
 長期間にわたる旅行だけではなく、気が向いた時に手軽に出かけられる日帰り旅もおすすめです。近場の日帰りバスツアーなら、価格も約5000円~と比較的お手頃です。

趣味・レジャー 支出の目安:0円~(近所の散歩の場合)

 時間をゆったりと使えるシニアライフは、趣味やお気に入りのレジャーが複数あると理想的です。なぜなら1つだけですと、体力が衰えたり、天候が悪く外出できなかったりした場合に、何もすることがなくなってしまうからです。できれば「屋内」と「屋外」、「複数人で楽しむもの」と「1人で楽しむもの」のそれぞれに応じた趣味やレジャーがあると良いでしょう。
 軽い散歩やウォーキングなら、費用もかからず1人で手軽に始められますし、趣味のサークルで仲間と活動をすれば、より楽しみが広がります。

 屋内のレジャーの例

 屋内スポーツ(ジムのトレーニング・卓球など)、映画鑑賞、絵画鑑賞、音楽鑑賞、カラオケ、楽器演奏など

 

 屋外のレジャーの例

 屋外スポーツ(ゴルフ・登山など)、散歩、食べ歩き、温泉めぐり、カメラ、ガーデニングなど

 

 複数人で楽しむもの

 集団スポーツや競技スポーツ(ダンス・テニスなど)、囲碁、将棋、麻雀、チェスなど

 1人で楽しむもの

 個人スポーツ(ジョギング・ウォーキングなど)、読書、編み物など

マイカーの買い替え 支出の目安:70万円~(軽自動車を新車で購入した場合)

 現役時代とライフスタイルが異なるシニアライフは、マイカーを見直すチャンスでもあります。
 子どもが独立して、夫婦2人だけしか乗らないという場合、維持費のかかる普通車から軽自動車に買い替えて老後の資金を節約する方法があります。また、定年を機に、若い頃からの憧れだった車種を購入する人もいます。いずれの場合も、これからの生活を考えて、自分に合った車を選ぶことが大切です。もちろん、公共交通機関が発達していてマイカーの必要があまりないのであれば、マイカーを持たずにレンタカーやカーシェアリングを利用しても大丈夫。

マイホームのリフォーム・修繕 支出の目安:数十万円~

 有料老人ホームなどの高齢者施設ではなく、自宅でシニアライフを過ごしたいと考えているなら、足腰が弱くなる70歳台後半までに住まいのバリアフリーリフォームを行う必要があります。バリアフリーリフォームの費用は、室内の段差を解消したり、浴室やトレイを広くしたりするなど、必要に応じて50万円~300万円を見ておくと良いでしょう。
 また、日頃から修繕費用を積み立てているマンションや賃貸住宅なら特に心配ありませんが、一戸建てのマイホームの場合、突然の雨漏りや水廻りのトラブルなどに備えて修繕費を数十万円程度ストックしておくと安心です。

 

健康づくり 支出の目安:0円~(ウォーキングの場合)

 年齢による体力の衰えは避けられないものですが、運動や日々の習慣によって健康を維持することは可能です。健康であれば医療費や介護費が少なくて済みますから、老後の資金の節約にもなります。
 健康づくりで大切なことは、運動で体を動かすことです。激しいスポーツをする必要はありませんが、運動をしないと足腰が弱くなり、寝たきりや体力の衰えの原因となります。スポーツジムなら入会金と月1万円程度の会費が発生しますが、地域の健康サークルなどを利用すると月2,000円程度から運動を楽しむことができます。また、個人で散歩やウォーキングを行う程度なら費用はかかりません。

 

シニアライフは「どこに住む?」

 シニアライフをイメージする時に、「終の棲家」をどこにするか考えることも大切です。「できれば最期まで自宅で過ごしたい」「サービスの手厚い高齢者施設で快適に暮らしたい」など、理想の住まいは人それぞれ。高齢者施設の中には希望者が多くてなかなか入居できない施設もあるので、早い段階から終の棲家を探しておきましょう。

自宅で過ごす

  二世帯住宅などで子どもに介護をお願いする、または自宅介助者(ホームヘルパー)に来てもらい、介護保険を利用して生活する方法です。
  自宅を終の棲家とするなら、自宅での転倒や怪我などを避けるために、バリアフリーリフォームを行いましょう。

 バリアフリーリフォームの例

  段差を解消する
  玄関や階段に手すりを取り付ける
  便器を洋式にする
  車椅子でも利用しやすいよう浴室やトイレを広くする

 これらのバリアフリーリフォーム費用の目安は数十万~300万円程度ですが、介護保険から補助を受けることができます。また、介護認定がなくてもお住まいの市町村の高齢社会対策区市町村包括補助事業(住宅改善事業)の補助が受けられることもあるので、窓口に問い合わせてください。
 なお、自宅で介護が必要になった時に、家族だけで介護を行うのは負担が大きいため、注意が必要です。自宅介助者(ホームヘルパー)に介護をお願いする場合、介護保険による介護サービス利用限度額を超えるとそれ以上は自己負担となりますので、介護費用を多めに見積もっておくことをおすすめします。

高齢者施設の種類

 高齢者施設とひとくちに言っても、その種類はたくさんあり、サービス内容や入居条件、月々の費用もいろいろです。施設の特徴をしっかり把握していないと、入居してから後悔するかも知れません。まずはそれぞれの特徴をチェックしましょう。

高齢者施設の種類

住宅型有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム グループホーム ケアハウス 特別養護老人ホーム 老人保護施設 療養型医療施設 サービス付高齢者向け住宅

住宅型有料老人ホーム

特徴民間企業が経営する老人ホーム。自立して生活できる人を対象としており、食事や最低限の清掃といったサービスはありますが、介護サービスは行われません。
費用の目安入居一時金と月額利用料が必要です。入居一時金は立地や設備などに応じて、数百万円~数千万円と幅広くなっています。月額利用料もさまざまですが、10万円~30万円のケースが多いようです。
注意点介護が必要な人は、外部の介護サービス事業者と契約して介護サービスを利用します。

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介護付有料老人ホーム

特徴都道府県より特定施設入居者生活介護の指定を受けた老人ホームで、原則として要介護認定を受けている人が入居します。食事や掃除、洗濯、入浴など日常生活全般の介護サービスが受けられます。
費用の目安入居一時金と月額利用料が必要です。入居一時金は数百万円~数千万円、月額利用料も12万円~30万円と、施設の立地や設備により費用にバラツキがあります。
注意点入居の対象となる人は原則として要介護認定を受けていることが条件になりますが、中には「混合型」といって介護を必要としない人も入居可能な施設もあります。

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グループホーム

特徴認知症などで一般的な生活が困難な高齢者が、9人以下のグループで生活する施設です。認知症に詳しい介護スタッフのサポートを受けながら、入居者の能力に応じて食事や掃除、洗濯を行い、自立した生活を送ります。
費用の目安入居一時金と月額利用料が必要です。入居一時金は100万円~数百万円、月額利用料は20万円~30万円というケースが多いようです。
注意点手厚い介護を受けるというより、共同生活をしながら自立した生活を目指す施設です。医療ケアは行われていないため、病気などが長引いて共同生活ができなくなると退去せざるを得ないことも。

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ケアハウス

特徴「軽費老人ホーム」とも呼ばれるケアハウス。主に社会福祉法人が経営しています。施設によって食事や介護サービスの有無が異なりますが、比較的リーズナブルな費用で入居できる特徴があります。
費用の目安入居一時金と月額利用料が必要です。入居一時金は数十万円~数百万円、月額利用料は自立の場合10万円~20万円、介護付の場合は15万円~25万円ですが、世帯収入や要介護度によっても料金が異なります。
注意点入居希望者が多いこともあり、ほとんど空室がなく入所が難しいケースがほとんど。入居したい人はお住まいの市町村の窓口で、空きがないかどうかこまめにチェックしましょう。

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特別養護老人ホーム

特徴社会福祉法人や地方自治体が運営している特別養護老人ホーム。介護保険の施設サービスの一つで、特養と呼ばれることもあります。有料老人ホームより料金が安いため人気があります。要介護の認定を受けた人が入居できます。
費用の目安入居一時金は不要で、5万円~15万円程度の月額利用料がかかります。
注意点リーズナブルな料金だけに入居希望者が多数。全国で42万人以上もの待機者がいるとされています。

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老人保健施設

特徴介護保険の施設サービスの一つ。老健とも呼ばれています。要介護の認定を受けた人対象という点では特別養護老人ホームと同じですが、こちらはリハビリテーションを重視しており、3ヵ月の入居期間中に自宅で自立して生活できるように医療・介護・機能訓練を行います。
費用の目安入居一時金は不要。月額利用料は7万円~16万円程度です。
注意点自宅に帰ることを目標としている施設なので、ずっと入居することはできません。入居期間は原則として3ヵ月です。

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療養型医療施設

特徴介護保険の施設サービスの一つで、医療サービスが充実しています。長期間にわたって療養を必要とする要介護者の医療・介護・機能訓練を行います。特別養護老人ホームや老人保健施設より、長期にわたって療養を必要とする要介護度の高い入居者を受け入れています。
費用の目安入居一時金はなく、月額使用料として20万円~30万円程度がかかります。
注意点療養型医療施設は2017年に廃止されることが決定しています。

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サービス付高齢者向け住宅

特徴バリアフリーや生活相談などの高齢者向けサービスが義務づけられている賃貸住宅。自立だけでなく、介護が必要な人でも賃貸借契約を結んで入居することが可能です。
費用の目安入居一時金はありませんが、賃貸住宅なので敷金・礼金がかかります。月々の家賃や管理費を合わせると15万円~25万円程度かかります。
注意点介護が必要な人は、外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。

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 同じ種類の高齢者施設であっても、利用料やサービス内容、スタッフの対応、食事などに差があります。できれば元気なうちに複数の施設の資料を集め、体験入居などで雰囲気を確かめておけば、いざ介護が必要になった時に焦らず施設に入居できます。